
うつ病の患者さんやそうではない人にでもやる気がでないことってありますよね。
しかし全てにおいてやる気がでなかったり、何をやっても無駄に感じてしまいどうする気もおきなくなっているのならそれは学習性無力感(がくしゅうせいむりょくかん)を感じているのかもしれません。
今日は長引くうつ病患者にも多い学習性無力感についてお伝えいたします。
目次
何もかも「やる気がでない」とすれば学習性無力感かもしれない!
自分では行動したいのに、なぜか行動できない。まったくやる気がでない。とてもうまくいく気がしない。あなたにはそんな感覚がありますか?だとすると、それは学習性無力感なのかもしれません。
学習性無力感とは、わかりやすくいうとこうです。
挫折を繰り返したり、人からダメ出しをされたり、自己否定し続けた結果感じるようになった無力感
無力感、無駄感、八方塞がり感といってもいいでしょう。学習性無力感に襲われると、自分の行動力がそがれてしまうので非常に厄介です。他人から見たら解決法があったり、やりようがいくらもあるのに、本人には冷静な判断ができません。
うつ病であったりすると、ただでさえ幸福物質といわれるセロトニンの分泌が悪いので、前向きに考えられなくなるのです。これは非常に由々しき事態であるといえます。
私のクライエントさんでいらっしゃるのは、うつ病に長年苦しんでこられ、これまで様々な方法を試してこられたような方がいます。カウンセラー、精神科、セラピー、食事療法、瞑想、民間療法など、どれもうまくいかず、気持ちばかりが焦ってしまう。そうしているうちに、何をやっても無駄といった感情が芽生えます。
でも辛さや苦しみは消えない。絶望感に苦しみ、身体的な症状まで悪化して不眠もひどくなってしまう。眠れないから気持ちはどんどん追い込まれる。まさに負のスパイラルです。これは本当に辛いです。地獄の苦しみといっても過言ではありません。
これが続くと非常に危険なのは、死にたいという気持ちが生まれてしまうのです。自殺願望(希死念慮、自殺念慮)を持つようになり、楽になりたいという気持ちばかりにフォーカスするようになってしまいます。
周囲からしてみれば、生活で困ることはなく、気持ち次第なのになーといった意見もあるでしょうが、うつ病そのものの影響と学習性無力感の影響がダブルで重なってしまい、本来その人が持っているポテンシャルが全く発揮されない状態になっていることが事実あるのです。
これは本当に由々しき状態です。私自身もそういったクライエントさんと接する機会ががりますが、非常に前向きになってもらうことを難しく感じることも時にあります。
学習性無力感を解除するにはどうすればいいのか!?
学習性無力感を解除するにはいくつかの方法があります。人によってもアプローチが変わってくるので、これが一番良いという万人向けの方法は決まってはいませんが以下の中にその可能性があります。
ただこれはあなたの学習性無力感の度合いやこれまでの人生、現状のストレスの強さによっては通じるものもあれば、かなり厳しいものなど個人差があります。
※ここからお話することは客観的な分析であり、いち意見です。あなた自身、自分を見るような視点ではなく、あくまで他人の事例として分析するような視点で読むよう心がけてください。
学習性無力感を減らすメソッド
- ダメ出し感を感じたりストレス源となっているものがあるのなら、そこからしばし離れる
- 過去を見ず、今を見つめるワークを行って安心を得ていく
- マイナスのことを考えない思考パターンをトレーニングする
- 小さな成功体験を増やして自己肯定を高める
- トラウマが心の奥底にあり、それが原因になっていないか探り対処する
- 恥の概念を手放す
- 完璧主義を手放す
- 前向きになるワークを繰り返すことで無力感を少しずつ取り払う
これらの対処法があるのですが、軽度であれば非常に有効で簡単に良くなっていく場合が大半です。しかし重症度の高いうつ病であったりすると、なかなか時間がかかるかもしれません。
学習性無力感が強い人は脳が疲弊しきっていますので集中力も削がれてしまって、物事に集中して取り組むことが難しくなっています。何より休むことが優先的な人も結構いると思います。
「休んだら負け」と思ったり「休んでいる暇なんて私にはない!」と思ったりして焦りに常に囚われてしまっている人も多いです。焦れば焦るほど、どんどん良い結果から遠ざかってしまうのですが、冷静な判断ができないために、やることなすこと裏目に出てしまいます。
急がば回れということが苦手になっていると人生が空回りしてしまいます。その場合不安を先に減らして安心を増やす取り組みが必要になっていきます。
また寂しさが異常に強い人もいらっしゃいます。強烈な孤独感、将来の不安など、強い不安の影響を受け、それを払拭するためにいろいろとトライするのですが、その都度、潜在的な自己否定や失敗への恐れが、マイナスの結果を引き寄せてしまい、成功の邪魔をしてしまいます。
そして実際に失敗し、挫折感を感じ、また自己嫌悪に陥ってしまう悪循環を繰り返します。そうして学習性無力感が強化されてしまい、何をしてもうまくいく気が全くしなくなり、ついには行動しなくなってしまいます。
自分の居場所を感じられず、若いうちに自分と向き合わう経験が得られず、アイデンティティの形成ができなかった人も大半です。自分が何者なのかを自分で決めていないために、自分をどうしたらいいのかわからず人に流されて生きてきた方も多いのかもしれません。
このように様々なパターンが人それぞれにあり、改善を促していくにはいろいろとワークをやっていくことや環境づくりをケースバイケースでしていかなくてはなりません。
あなたがこうなったのはあなたの責任ではないです。こういった思考パターンになってしまったのは、幼少期からの環境が大きく影響しているからと私は考えます。あなたに落ち度なんてものはないです。
そして今からでもあなたは変わっていく才能を持っています。それは私が保証します。ではまず何からどう始めたらいいのか?
完璧主義をやめる!
学習性無力感の人に多いのは完璧主義の人です。完璧主義は減点方式です。100点からスタートして、後は減点していく評価主義なのでいつも悪い点数を自分につける呪いです。
あなたが完璧主義であるならば、即やめてください。減点方式から加点方式へ切り替えるようにしてください。これについては以下の記事を参考にしてください。
関連記事:完璧主義の治し方!たった1つのこの考え方を取り入れよう!
自分の心の声を聞くことが大切です!
あなたがもし学習性無力感の罠に陥っていると感じているなら、まずは自分の内なる声に耳を傾けることをしてください。自分の心の声、内なる声とは、自分の本当に隠し持っている本音や感情のことです。
心の声をしっかりと感じることで、自分が本当はどうしたいのかがわかります。それがわかるとどうなるのかというと、自分の方向性を正確に知ったり自分を癒やしたり、結果として自己肯定感を高めたりすることに繋がるのです。
うつ病の人や学習性無力感が強い人の多くはそれができていません。あなたは今、本当はどう感じているのですか?どうしたいのですか?
- 寂しいですか?それはなぜ?本当に?
- 人にわかってほしいのですか?どうして?
- 怒りがあるのですか?なぜ?本当に?それでどうしたいのですか?
- ただただ辛いのなら、それはなぜですか?
- 人に言えない気持ちが本当はあるのではないですか?
自分の気持ちを言葉にし、その言葉の裏を探っていくために自問自答するのです。なぜ?本当に?
何か自分でも気づかない気持ちが人にはよく隠れています。私のクライエントさんでも自分の本当の気持ちを封印してしまい、社会的な常識ばかりを話す傾向の人もいます。それが本音だと勘違いしているのです。
本当は寂しいのに、それを相手に言うと恥ずかしいから言えないとか、相手に拒否されたら悲しいから言えないという人がいます。本音を押し殺してしまっています。
あるいは、「人に弱さを見せてはならない。それが大人だ」とか「どうせ誰も私のことは分かるわけがない!」といった思いを信念、あるいは観念にしてしまっている人すらいます。
「こうするべき」「~しなければならない」など、いわいる『べき思考』になっている人が多いのです。そして嫌われたくないという思いが強い人も。
本当は「こうしたい」を優先してほしいのですが、それができていない人ほど苦しみます。要するに自分らしく生きていないのです。
あなたは「どうせ誰も私のことは分かるわけがない!」と思うことがありますか?もしそこで自分の意見が終了しているとすれば、それは浅い思考になっていますよ。
「どうせ誰も私のことは分かるわけがない!」は本音ではないですよね。
本音はこうでしょう。「誰かにわかってほしい!」あるいは「私はとても寂しい!辛いんです!」あるいは「なんて自分は孤独なんだろう」。こういった感情や本音が隠れていませんか?こういう感情が心の声です。
さらにそんなことを言ったら「恥じ」「情けない」と思っていますよね?それはよくありません。私は正直に話す人が好きです。
本音を言わない人は信用されません。相手に見透かされてしまいます。たとえ本音を言って、相手が自分を嫌ってもそれはあなたにとってその相手がふさわしくない証拠です。むしろ距離をとる相手がわかってラッキーなんです。
それでいいんですよ。個性を出すことは自分のファンを50%生み出し、自分のことを嫌うアンチファンを50%生み出します。あるいはアンチファンが90%だったとしても、自分を応援してくれる超熱狂的なファンが10%になるものです。
それもそういうものです。世の中そうできています。
そもそも人は万人と仲良くなれるものではありません。それは言語が国によって違うために完全には理解しあえないのと同じようなものと思ってください。
別に嫌われてもあなたは一人にはなりません。むしろあなたに対して面倒なことを言ってくるような人を排除することが幸せに繋がります。そういうものです。
要は嫌われることを覚えることが幸せ度を高めるコツです。その第一歩が自分の心の声を聞くことにあります。
自分の発した言葉の奥底に隠れている感情を言葉にすることが、自分を知ることです。自分を知らないと自分をコントロールできません。表向きの偽の感情に振り回されてしまい、正しい行動が取れなくなっていませんか?
ただでさえ自己肯定感が低い人は、これまで他人の意見に流されて生きてきましたから、自分軸で生きていません。学習性無力感はまさに他人の軸で生きているから起きることなのです。
あなたは変われます!あなた自身、普段から『べき思考』になっていないか、自分の心の声をよく聞くようにしてください。そこで簡単なワークをしてみましょう。
自分の心の声を調べるワーク

この写真を見てどう感じますか?
あなたはこの猫ちゃんの写真を見てどう感じますか?そっちょくに言葉にしてください。「かわいい!」「怖い!」などワンフレーズで出た言葉ならそれは心の声です。心の声に理屈は存在しません。

出典:https://www.pakutaso.com
ではこの空を見てどう思いますか?心の声を言葉にしてください。「きれい」「悲しい」「どうでもいい」いろいろ感情があると思います。自分の本音を言葉にして表現する習慣をつけてください。
それでこれがなんになるっていうの?と思うかもしれませんが、とても大事なことです。あなたは自分自身で本音を言えないことはわかっていると思っているかもしれませんが、私から言わせれば恐縮ですが、あなは本当の本音をわかっていないことがあると思っています。
その証拠が学習性無力感です。心の声をより正確に言語化することは一見関係ないように思うかもしれませんが、前向きな性格になるためや、うつ病にも非常に有効と私は考えます。
それは自分は何者なのか?何をしたいのかを知ることに繋がるからです。まさにアイデンティティの形成に繋がるからです。それを構築しないと、人生で常につまづきます。
その初歩の初歩が気持ちの言語化なのです。毎日、空を見てください。人間が作っていない自然を観察して、自分がどう感じるのかを言語化してください。自分は本当はどう思っているのか言葉にしてください。
これを習慣化できると、自分のなかの変化を感じるようになっていきます。
人間は辛い時は、自分の感情を言葉にすると軽くなることが科学的にわかっています。「今自分は辛いんだぁ」「今わたしはあのことでイライラしているんだ」という感じで、言葉に出して、自分の感情を素直に言語化してみてください。
これは体験しないとわかりません。しんどい状況にあるかもしれませんが、何とか実行できるのであればトライしてみてください。ただ感じ、言葉にし、その言葉を見極めるのです。とてもそんな気にすらなれないという方はかなり状態が悪いですが、言語化することは感情を鎮める効果が高いのでおすすめします。
難しいかもしれませんが、一人で抱え込まず専門家への相談をしてほしいと思います。私はいつでもお待ちしています。
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まとめ
- 全くやる気がでないのは学習性無力感の可能性がある
- 学習性無力感はうつ病の影響や完璧主義、これまで非成功体験が原因
- 自分の心の声を感じ取るワークがおすすめ
- 自分の本音を知ることから始めよう
やる気が出ない状態を改善するには早めの対処が重要です。学習性無力感を解消するために、行動ができる人は完璧主義をやめて目標のハードル下げて成功体験を増やすことが有効です。
自分の心の声を言語化するワークも有効なので、可能であれば習慣化してください。その際に過去の自分、嫌な感情を振り返ってしまう場合は別のワークが必要です。お気軽にご相談ください。