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うつ病や嫌な気分を改善していく認知行動療法 コラム法

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うつ症状や不安な気持ち、あるいは人とどうしてもうまく関われない場合などを解消していく方法に認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)という心理療法があります。

認知行動療法とは、大雑把にいえば、自分の認知に働きかけて気持を楽にしていく心理療法です。認知とはものの受け取り方、認識の仕方、感じ方と思ってください。この認知がズレていると、間違った考え方をしてしまい、どんどん悪い方向へ物事が進んでいきます。

自分の気持や考え方って意外と訓練していないとわからないんですよね。あなたがもしうつ病になってしまったのなら、こういった認知のズレも影響していることが多々考えられます。

認知行動療法は有効な方法として世界中で広く利用されています。今日は自分でできる簡単な認知行動療法についてお伝えします。

認知行動療法の一つ コラム法

ここで私があなたに簡単で気軽にできる認知行動療法を一つお伝えします。

それはコラム法という認知行動療法です。このコラム法は認知行動療法の中でも基本となるもので、自分一人でもできるシンプルなワークです。

注意事項

ただ一つ事前にご注意していただきたいことがあります。認知行動療法は、やり方や人によっては個人差があります。あまりに自己否定が強い人やトラウマ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の強い人だと、認知行動療法によって気分が悪くなる場合があります。

これは好転反応ともいえますが、あなたがもし、お医者様から認知行動療法は向いていないと言われていたり、上記に当てはまったりする場合は、このワークは少し控え専門家からセラピーを受けたほうが良い場合があります。

それではコラム法について説明していきたいと思います。では早速認知行動療法のコラム法のワークへ入っていきたいと思います。

紙とペン

ではまず紙とペンをご用意ください。面倒な方はスマホのメモ帳や言葉に出してもらっても結構です。なるべく忘れないために、書き出すことをするようにしてくだい。

■ステップ1 あなたの生活の中で何か嫌なことや面倒なことを一つ書き出してください。【状況】

参考例

  • 「食事を作りたくない」
  • 「仕事に行きたくない」
  • 「家事が面倒」
  • 「家族と喧嘩をした」
  • 「上司に嫌味を言われた」

◎ステップ1の解説

ここではあなたの生活の中で今現在困っていることや嫌なこと、面倒なことなどを一つピックアップしてください。ここではそんなに大きな問題でなくてもいいです。次のように具体的なことを書き出します。

■ステップ2 そのときどのような気分になりましたか?【気分】

参考例

  • 「怒った」
  • 「悲しかった」
  • 「辛かった」
  • 「イライラした」

◎ステップ2の解説

ここではその時にどんな気持になったかを記してください。

■ステップ3 そのとき、どのような考えが頭に浮かびましたか?

参考例

  • 「もう関わりたくないと思った」
  • 「腹がたったので家でしようと考えた」
  • 「イライラしたから、やけ食いしようと考えた」

◎ステップ3の解説

ここでは、どのような考えが頭によぎったのか、記してください。ここ感情ではなく、具体的にどうしようと思ったのかなどを書き出してください。

これは【自動思考】といいます。ステップ2の感情から自動的にステップ3の考えに結びつきます。人間は普段この自動思考を中心に生きています。

うつ病は特にこの自動思考がマイナスに傾いている人が大半で、感情のみで生きてしまってつらい思いをしている人が沢山いるのです。

■ステップ4 そのように考えたのは◯◯◯という事実があったからだ という文を作ってください。【根拠】

参考例

  • そのように考えたのは 兄弟喧嘩 という事実があったからだ

◎ステップ4の解説

ステップ4では事実を確認します。○○○に当てはまる部分に出来事を書き出してください。

■ステップ5 それとは違う◯◯◯という事実もある という文を完成させてください【反証】

参考例

  • それとは違う 私の言い方も悪かった という事実もある
  • それとは違う 別のやり方 という事実もある
  • それとは違う 相手は私のためを思って言ってくれた という事実もある
  • それとは違う このおかげで結果的に助かった という事実もある
  • それとは違う 人の考え方は人それぞれ という事実がある

◎ステップ5の解説

ここでは◯◯◯の部分に自分が冷静に考えて見えてくる別の事実を書き出します。少し難しいですか?例えば次の参考例をご覧になってください。

例えば兄弟喧嘩があってイライラしたのなら、次のように考えることもできます。

■ステップ6 4と5を「しかし」で繋ぐ【適応的思考】

ステップ4と5の文章を繋いでみてください。これにより一つ文章が完成します。ステップ4は【根拠】といい、ステップ5は【反証】といいます。

この根拠と反証を組み合わせて考えることで、気持が楽になっていきます。それは自動思考に対して、常に別の角度から見る検証ができるようになるからです。

これができるようになると、起きた事実に対して一方通行的な偏った考え方から、別のものの見方ができるようになって、新しい道やアイディア、解決策を見出す能力が身についていきます。

■ステップ7 今の気分を書く

ステップ7では今の率直な気持を書きます。ステップ6までをやって自分がどう思ったのかを書き出してください。ポイントはステップ5です。ステップ5で建設的な答えが出ていればおそらくあなたの気分はいくらか軽くなっているはずです。

もしそうならないとすれば、このワークをもう少し別の案件に対して行うようにしてください。別の事例でもいくつかコラム法を当てはめてみることで、このワークの効果を実感できるようになります。

うつ病を治すためには客観力が大切

このワークは認知行動療法の基本ですので、可能であれば何か問題が発生した時や、自分の気持が嫌な気分になる出来事があった時に有効な方法です。

日常を楽しくしている人の中にはこのコラム法を無意識に行っている人たちが沢山います。この方法に慣れてしまうと、自分の中に自動的にコラム法を思考できるパターンが作られていき、普段の生活でも自然と良い考え方が身についていきます。

これは客観力であり、その習慣化が柔軟なメンタルをつくる鍵です。良い考え方を習慣化すると、うつ病や不安を軽減させていくことに非常に大きな力を発揮します。

ここで覚えておいていただきたいこととしては、何事も一瞬で変わるものではないということです。

どうしてもうつ病で苦しんでいる方は何とか早く解決したいという焦りから事をし損じる場合があります。

焦りは失敗ばかりを生み出してしまいます。挫折を繰り返すと、それが自己否定を上書きすることに直結してしまいます。

お気持ちはよくわかりますが、そこはどうかコツコツやることを覚えてください。

うつ病を改善していくためには、大きなことを成し遂げて達成するのではなく、自己肯定感を高めるために良い習慣をコツコツ身につけていくことがとても大きな効果を生み出すのです。

自分の思考傾向は成長型でないとうつ病の完治はとても難しくなります。すくなくとも、あなたの今現在の自動思考の形を健康的なものへ変えていく必要があります。

このコラム法もその思考を変えていくための一つの方法です。生活の中に自然と取り入れられるように、最初は小さなことから当てはめて見てください。

ただとてもできない、集中できないという方は専門家のカウンセリングやセラピーを受けることをお勧めします。

まとめ

  •  ステップ1 どのようなことが起こったか 【状況】
  •  ステップ2 そのときどのような気持になったか 【気分 心の声】
  •  ステップ3 そのときどのような考えが頭に浮かんだか 【自動思考】
  •  ステップ4 そのように考えたのは◯◯◯という事実があったからだ という文を完成させる 【根拠】
  •  ステップ5 それとは違う◯◯◯という事実もある という文を完成させる 【反証】
  •  ステップ6 4と5を「しかし」で繋ぐ【適応的思考】
  •  ステップ7 今の気分を書く

自分の認知力をできるだけ豊かにしていくことが、人生を豊かにしていくコツです。うつ病であろうとなかろうとこれは必要なスキルです。コラム法は自分を見つめ直すワークとして、とても効果的です。

インプットしたことは、是非アウトプット(実践)して実験してみましょう。自分がどう感じ、どう変わっていくのかを観察できるようになると、今まで見過ごしていた自分に気づいたり、忘れていた大事なことを思い出したりすることに繋がります。

自分が嫌いで消えたい辛いと感じている人へ

カウンセラーの紹介

  • この記事を書いた人

makoto

心理カウンセラー メタ認知、行動心理の専門家 生きづらさや悩みの解決をサポートしてます。 才能発見のカウンセリングや脳科学を活用した心理療法などを得意としています。 3カ月で回復することを目指し、これまで述べ2000人のカウンセリングに携わっています。 うつ病を含めカウンセリングの奏効率85パーセント 趣味:ドライブ、読書、カフェ巡り、アニメ、料理、瞑想

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